老人ホームには種類がある!それぞれの特徴と違いを詳しく解説
内閣府が令和4年度に行った調査によると、令和4年10月1日現在、65歳以上の人口が総人口に対して占める割合は29%と、国民の4分の1以上が高齢者という結果が出ています。そんな高齢化社会の現在の日本を支えるサービスとして、さまざまな老人ホームが利用されていますが、一体どのようなものがあるのか、種類別の特徴と違いを解説します。
民間施設の老人ホーム
民間施設の老人ホームは、入居費や月額利用料など料金が、公的施設の老人ホームに比べて高額な傾向があります。
一方で高額な分、食事や住居環境が良質であったり、施設内でいろいろなイベントが開催されたりと、充実したサービスを受けることができます。そんな民間施設の老人ホームはどのようなものがあるのか、いくつか例を挙げて紹介します。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅とは、自立しているもしくは軽度の介護が必要な人が主に利用することができる、高齢者向けの賃貸住宅です。老人ホームなどとは違い、基本的には個人や夫婦のみで自由な生活をすることができます。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームとは、自治体から特定施設の指定を受けた有料老人ホームです。人員や設備について、一定の基準をクリアした施設が特定施設の指定を受けるため、手厚いサービスを受けることができます。また、幅広い要介護度の人を受け入れることができ、24時間体制で介護サービスを受けることができます。
グループホーム
グループホームとは、認知症の診断を受けた高齢者が、少人数で共同生活を送る施設です。住民票と同じ市町村にあるグループホームに入居することができるため、利用者は住み慣れた地域で、同じ地域に住む人とアットホームな雰囲気で、共同生活を送ることができます。基本的な身の回りのことは自分でできる人が利用の対象となり、共同生活とはいえプライベートな空間もあるため、常に他人と一緒にいるというわけではありません。
公的施設の老人ホーム
公的施設の老人ホームは、国から補助金を受けていたり、税金面で優遇を受けていたりするため、利用者も民間施設の老人ホームに比べて、お手頃な料金で利用できるところがメリットです。
しかし、利用料金が安いため利用希望者が多く、なかなか入りたくてもすぐには入れない場合があります。ここでは、公的施設の老人ホームについてもいくつか紹介します。
ケアハウス
ケアハウスとは、頼れる身内の人がいなかったり、これまで住んでいた家に住むことができなくなってしまったり、経済状況や住宅事情が原因で、今後も自立して生活していくことが困難な高齢者を対象にした施設です。
民間施設のサービス付き高齢者向け住宅とサービス内容が似ていますが、ケアハウスは公的施設であるため、比較的低額で利用することができます。基本的には自由に暮らすことができ、食事の提供サービスや、困ったことがあればスタッフに生活相談ができるサービスがあります。
介護医療院
介護医療院とは、医師や看護師などの医療従事者が常駐している、要介護度者が長期にわたり療養するための施設です。要介護度が1~5であることが入居条件で、医療と介護ともに充実したサービスを受けることができます。
医療だけでなく、利用者が心身ともに充実した生活が送れるように、談話室やレクリエーションルームもあるほか、終末期と診断された人へのターミナルケアや看取りにも対応可能であるため、さまざまな利用者が安心して暮らすことができる環境が整備されています。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームとは、要介護度が原則3以上と比較的重度の、65歳以上の高齢者が対象となる施設です。入居一時金が不要であったり、介護保険が適用されるサービスがあったり、民間施設の老人ホームに比べて負担する費用を抑えることができます。一方で、相部屋であることが多く、医療従事者が24時間常駐していないなど、サービスが限定されていることが特徴です。
老人ホーム選びのポイント
老人ホームの種類だけでもさまざまですが、事業所の数でいうと全国で数万という規模であるため、どうやって選べばよいか分からないという人も多いと思います。ここでは、そんな老人ホーム選びのポイントを解説します。
入居者の状況と予算を把握したうえで選ぶ
予算が多い場合は、充実したサービスを受けることができる民間施設の老人ホームも選択肢となるため、入居したいときにすぐに入居することができる可能性が高いです。
しかし、予算が低く公的施設の老人ホームしか選択肢にない場合は、利用したい老人ホームが入居待ちになっていることも多いです。予算が低ければ低いほど、早めに動き出す必要があるため注意が必要です。
入居者の意思を尊重する
利用者に代わり、親族が老人ホームを探すケースは多いかと思います。しかし、早く入居を決めたいからといって、利用者の意見を聞かずに契約してしまうと、失敗するケースもあるため注意が必要です。
高齢者が急に長年住み慣れた場所から転居したり、環境が変わったりすると、認知症など思わぬ病気を発症してしまう場合があります。資料請求をしたら利用者と一緒に読んで意見を聞いたり、体験入居をしたりして、利用者が納得いく老人ホームを探すことが大切です。
まとめ
老人ホームは、紹介したもの以外でもさまざまな形態があります。利用者にとって老人ホームに入居することは、人生の大きな転機となる出来事です。
全国にたくさんある老人ホームから、予算だけでなく、利用者本人の意思も踏まえて納得できる施設が見つけられるように、いざ入居が必要になる前に日頃から情報収集を行っておくと安心です。